商標出願では、1区分の中に含まれる類似群コードが多すぎると、特許庁から「本当にそんなに幅広い商品・役務について使用する意思があるのか」と疑問を持たれ、拒絶理由を通知される場合がある。
そこまで致命的な話では無いものの、実務で同じ状況になることもあると思うので軽く整理しておきたい。
商標における類似群コードとは
類似群コードとは、商品や役務(サービス)の類似関係を分類するために特許庁が付与しているコードのことである。
商標制度では、同じ区分内であっても、すべての商品・役務同士が類似するわけではない。そこで、互いに類似すると考えられる商品・役務をグループ化し、それぞれにコードを付けている。
例えば、
- 携帯電話機: 11B01
- パーソナルコンピュータ :11C01
のように、それぞれ異なる類似群コードが付与される。
審査においては、商標そのものが似ているだけでなく、指定商品・役務の類似性も重要となるため、類似群コードは先行商標との抵触を調べる際の重要な目安として利用されている。
ただし、類似群コードが同じであれば必ず類似、異なれば必ず非類似というわけではなく、あくまで審査実務上の判断基準の一つである。
1つの商品に複数の類似群コードが付くことがある
類似群コードの数は、商品や役務の数と一致するわけではなく、単一の商品役務であっても複数の類似群コードが付与されることがある。
例えば、スマートフォンという商品には、11B01(携帯電話機)、11C01(パーソナルコンピュータ)という2つの類似群コードが付されている。
つまり、商品役務を1つしか指定していなくても、類似群コードは複数になることがある。
区分表にない表現を用いると類似群コード数が読みにくい
特許庁が公表している商品・役務名の区分表に掲載されていない独自の表現を使用することも可能である(商標法第6条第1項に基づき、商品・役務の内容及び範囲が明確である必要あり)。
独自表現が適切なものとなっているかは事前に特許庁の意見を伺くことができるのだが(確実性を保証するものではない)、どの類似群コードが付与されるか、またいくつ付与されるかは審査段階にならないと分からない。
このとき、次のような問題が生じることがある。
1区分の類似群コードが23個以上あると使用意思を問われる
1区分内に含まれる類似群コードが23個以上となる場合、審査官は出願商標の使用意思の有無について合理的疑義があるものとして、原則として拒絶理由が通知される。
もっとも、これは「出願人が指定した商品・役務について、実際に使用する予定があるのか」という点を確認するためのものであって、23個以上になったからといって直ちに登録できなくなるわけではない。
拒絶理由を受けた場合
もし拒絶理由通知を受けた場合は、以下のような対応が可能である。
- 指定商品・役務を削除して類似群コード数を減らす
- 使用予定を示す簡易な資料を提出する
使用予定を示す資料としては、事業計画書、パンフレット、ホームページ案、商品企画書などが利用される。
そのため、類似群コードが23個以上になったとしても、後から対応できるケースが多い。
ちなみに、出願当初から商標の使用又は使用意思に関する証明書類等を提出しておけば、拒絶理由は通知されないようである。
1つの商品役務だけで類似群コードが23個以上となる場合も
単一の商品役務を指定するだけでも、あっという間に類似群コードが23個以上となる場合もある。
代表例として、
飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
という第35類の役務があり、この役務には、以下の通り実に47もの類似群コードが付されている。
一撃で拒絶理由が通知される数である。
類似群コード
28A01 28A02 28A03 28A04 29A01 29B01 29C01 29D01 30A01 31A01 31A02 31A03
31A04 31A05 31A06 31B01 31C01 31D01 32A01 32B01 32C01 32C02 32D01 32D02
32D03 32D04 32E01 32F01 32F02 32F03 32F04 32F05 32F06 32F07 32F08 32F09
32F10 32F11 32F12 32F13 32F14 32F15 32F16 32F17 33A01 33A03 35K03
もちろん、このようなケースでも、役務自体が明確であり、実際の使用意思が認められれば問題なく登録され得る。
まとめ
商標出願では、1区分内の類似群コード数が23個以上になると、使用意思について拒絶理由が通知される場合がある。
しかし、
- 23個以上になっただけで直ちに登録できなくなるわけではない
- 商品・役務を削除することで対応可能
- 使用予定を示す資料を提出する対応も可能
- 1つの商品や役務でも複数の類似群コードが付くことがある
- 役務によっては1つだけで47もの類似群コードが付される例も存在する
といった点を踏まえると、類似群コード数が23個を超えること自体を過度に心配する必要はない。
特に、区分表にない独自の記載を用いる場合は、審査段階で想定外の類似群コードが付与される可能性もあるため、「23個を超えないよう厳密に管理する」というよりも、拒絶理由が通知された際に適切に対応するという姿勢で臨む方が実務上は現実的といえる。