契約書を読んでいると、「保証」「補償」「賠償」と、似たような言葉が頻繁に登場する。
いずれも「責任」や「損失」に関係する言葉だが、意味も役割も明確に異なるので、それぞれをシンプルに整理するとともに、契約書中での例文も載せておく。
保証とは
保証とは、一定の事実や状態が間違いないと請け合い、責任を持つことを意味する。
したがって、保証が事実と異なれば契約違反になる。
開発委託契約等においては、知財保証の条項で用いられることが多い。
知財保証に関して興味があれば、以下の記事を参考にしてみてほしい。
製品売買契約において争点となりやすい条項の一つが「知財保証」である。 知財保証は、第三者の特許権等を侵害しないことを売主が保証するものであ...
例文:乙は、本件業務の遂行及び本件業務の遂行に基づく成果物が、第三者の知的財産権その他の権利を侵害しないことを保証する。
補償とは
補償とは、適法な行為や天災などよって生じた損害に対し、金銭などで補うことを指す。
しかし、実際は適法・違法によらず、「補償」という用語を使っている契約書も多く見かける。
なお、大学との共同研究契約では「不実施補償」(大学と企業が共同で特許取得後、その特許を用いて事業化する企業が、実施しない大学に対して対価(補償金)を支払うこと)といった用語を聞くと思うが、どの大学の共同研究契約書でも「不実施補償」という文言はなく、「実施料」という言葉を用いている。
例文:乙は、本業務に関連して第三者から甲に対して請求がなされた場合であって、当該請求が乙の責に起因するときは、当該請求により甲に生じた損害を補償する。
賠償とは
賠償は、損害を補填するという点では補償と共通するが、不法行為や契約違反など違法な行為に対する損害に対して埋め合わせを行うという点が補償とは異なる。
様々な種類の契約で損害賠償条項が設けられるが、秘密保持違反を理由とした損害賠償請求は困難であることから、一般的に秘密保持契約(NDA)において損害賠償条項が設けられることは稀である。
その辺りの詳細は、以下の記事で述べている通りである。
秘密保持契約(NDA)を締結したり、委託契約等で秘密保持条項を設けていたとしても、残念ながら情報漏えいが起きるときは起きる。 筆者も、以前...
例文:乙は、本契約に違反し、又はその責めに帰すべき事由により甲に損害を与えた場合には、甲に対し、当該損害を賠償する責任を負う。