知財権の侵害の警告書を受け取ったときに対応すべきこと

特許侵害を理由とする警告書は、ある日突然届く。 「当社の特許権を侵害している」「直ちに使用を停止しろ」「損害賠償を請求する」「誠意ある対応が無い場合には法的措置をとる」といった内容に面食らうかと思う。 しかも、相手方は知財部長の連絡先を知らないことが多いためか、その通知を最初に受けるのは社長だったりするわけで、偉い人から「何か侵害の通知が来たけど、うちは大丈夫なんだろうな?」と言われることを想像すると、肝が冷える思いである。 そんな形で届いた警告書に対しては「対応しない」ことも含めて対応方法は自由ではあるが、場合によっては裁判となり、多くの時間、費用を要する上、最悪製品を販売できなくなる可能性もある。 和解金を払うのも嫌だが、販売中止だけは何としても避けたいと思うのではないだろうか。 こういった事態を避けるため、弁理士・弁護士(顧問契約をしている弁理士等のほか、例えば日本弁理士会への無料相談も可)に相談の上、警告書の内容を見定めつつ、誠意ある対応を行うことが求められる。 ちなみに、特許権を侵害された場合に関しては、別の記事で述べているので適宜参考にしてみてほしい。 特許権を侵害された場合の解決ルートと警告書実務 特許侵害が疑われる場面では、いきなり訴訟という選択肢だけが存在するわけではない。 (ごく稀にいきなり訴訟する相手もいるらしいが、幸い筆者は... 警告書は誰から来たか 警告書の差出人は、主に次の三者に分かれる。 特許権者本人 弁理士 弁護士 一般に、弁護士名義の警告書は本気度が高いと受け止められることが多い。 弁護士からわざわざ差し出してくるということは、訴訟対応を前提とした体制が既に整っている可能性があるわけで、無視や安易な対応はリスクが大きい。 回答しないという選択のリスク 警告書に対して回答しない場合だが、言うまでもなく民事裁判を起こされる可能性が高まる。 特に、 回答期限が明記されている 弁護士名義である 侵害態様が具体的に記載されている といったケースでは、無回答=交渉拒否と受け取られやすい。 警告書によっては交渉の提案を促す内容が記載されていることもあるが、その場合はライセンス契約や和解による早期解決を希望している可能性が高い。 その場合も、まずは何らかの回答をすることが無難である。 レアケースではあるかもしれないが、警告書の内容が情報提供としての側面が強く、相手側から特に回答を求められていないのであれば、必ずしも反応する必要は無い場合もある。 警告書の内容検討 知財権の侵害の警告は、権利者の主観的判断に基づくことも多く、誤用や濫用の可能性もある。 そのため、警告を受けた場合は、直ちに以下の内容を検討・調査し、冷静に対応することが重要である。 知財権が有効に存在するか、正当な権利者からの警告かの確認 自社の行為が、相手方の知的財産権の効力範囲に含まれるかを検討 自社製品が特許発明の技術的範囲に属するか(禁反言の存否も) 使用している標章が、登録商標と同一又は類似であり、かつ、指定商品・指定役務と同一又は類似か、など 必要に応じて、特許庁の判定制度や弁理士による鑑定を活用 その他、先使用等による実施権があるか、特許権・商標権の効力の及ばない範囲の実施(特許法第69条、商標法第26条)に相当するか、などの検討 相手方の知的財産権の効力範囲に含まれると判断した場合は、実施行為を中止して故意責任を問われないようにする 回答に向けた準備 訴訟への備え 鑑定書などの証拠の準備 自社の知財権に関する準備(クロスライセンス用特許の有無確認、商標登録出願など) 不使用取消審判の請求(商標の場合) 判定請求、侵害不存在確認訴訟の提起 誰が回答するか 回答書の名義も重要な判断ポイントになる。 相手が弁護士であれば、こちらも弁護士名義で対応することで、交渉の土俵を揃える意味がある。 一方、技術的な争点が中心であれば、(自社がバックアップするのは当然として)弁理士が前面に立つケースも少なくない。 回答内容の考え方 「ゼロ回答(実質的な無回答)」は、無回答と同じ覚悟が必要になる。 一方、何らかの譲歩や交渉意思を示すだけで、交渉による解決の可能性は大きく残るのではないだろうか。 主に以下のような要素が回答書に盛り込まれることが多いかと思う。 認否・回答・求釈明 警告内容をどこまで認めるか 警告書の意味や根拠について釈明を求めるか 否認・抗弁 特許等の無効理由の主張 無効審判請求の示唆または実施 民事裁判において、無効理由の存在による権利行使制限を主張(特許法第104条の3、商標法第39条など) 交渉による解決の余地 交渉に応じる意思があるか 紛争の早期解決を目指す姿勢を示すか 譲歩・交渉内容の検討 製造・販売の中止 設計変更を行う 完全に中止する 在庫品の扱い(即時廃棄、一定期間後の廃棄など) 過去の販売分に関する損害賠償の扱い ライセンスの希望 一方向ライセンス クロスライセンス 相手方への提案 条件付きでの権利不行使の合意 損害賠償の免除 在庫の売り切りの承諾 段階的な使用変更の承諾 なお、確認書の確認・検討には時間を要するところ、相手方が設定した回答期限(例えば、2週間以内程度)に間に合いそうになければ回答期限を延ばしてもらうよう依頼することは十分考えられる。 とにかく、期限までに「回答期限の延長希望」含めた何らかのリアクションをすることが大事となる。 交渉解決と合意書 交渉によって解決する場合、一部の例外(完全中止+廃棄証明書提出+損害賠償請求なし)を除き、合意書を取り交わすのが通常となる。 名称は、「合意書」「確認書」「和解書」「覚書」など様々だが、法的な意味合いはほぼ同じである。 合意書に盛り込むべき内容 最低限、次の事項は明確にしておきたい。 当事者の特定 対象となる権利および被疑侵害製品等 合意内容(各義務には期限を設けること) 製造・販売等の中止 損害賠償金の支払 設計変更の実施 各義務の期限 各義務に期限を明記しなければ、実効性のない合意になりかねない。 せっかく合意してもそれを守らない場合は相手方からの最終手段として訴訟提起の可能性があるため、こちらが遵守すべき事項には細心の注意を払っておくべきである。

特許権を侵害された場合の解決ルートと警告書実務

特許侵害が疑われる場面では、いきなり訴訟という選択肢だけが存在するわけではない。 (ごく稀にいきなり訴訟する相手もいるらしいが、幸い筆者はまだそんな相手と遭遇したことは無い) 侵害された事案の性質はもちろんのこと、相手方の規模や態度などを踏まえ、どのルートで解決を図るかを戦略的に選択する必要がある。 本記事では、特許侵害紛争の主な解決ルートを整理したうえで、実務上では比較的活用の場面があるであろう警告書の送付について情報をまとめる。 特許侵害紛争の主な解決ルート 特許侵害紛争の解決方法としては、以下の選択肢が挙げられる。 交渉による解決 裁判外紛争解決手続(ADR) 知財調停 民事裁判による解決 本訴(差止請求、損害賠償請求等) 仮処分(差止仮処分など) 刑事告訴(故意による侵害行為であることが必要) 中でも当事者間の交渉による解決は、(相手方が誠実に対応することが前提であるものの)早期解決の可能性があり、最も柔軟でコストを抑えやすい手段でもある。 また、紛争の存在や内容が外部に知られにくい点もメリットである。 したがって、まずは交渉可能性を探るべく、被疑侵害者に警告書を送って様子を見るところから始めることが殆どではないだろうか。 警告書送付にあたっての基本的な考え方 以下、警告書の送付に関する留意点をまとめる。 どこまで争うかを事前に決めておく 警告書は、単なる「注意喚起」ではなく、権利行使の第一歩となる。 警告書を送付する前には、交渉決裂後にどこまで進めるのか(訴訟まで行くのか)までの道筋を事前に想定しておきたい。 もしまだそこまで考えていなければ、いったん警告書の送付はストップである。 特許侵害で注意すべき点の1つとして、権利行使を契機に相手方から無効審判を請求され、特許権自体が失われるというリスクがある。 「とりあえず送って、相手の出方を見てからゼロベースで考える」という姿勢は、結果として想定以上の費用負担を招くことがあるので避けておきたい。 警告書の送付方法と名義 警告書は、証拠を残す観点から内容証明郵便による送付が一般的である。 また、特許権者本人名、弁理士名、弁護士名のうち、誰の名義で送付するかも検討事項となる。 名義によって、相手方が受ける心理的インパクトや、その後の対応が変わることも少なくないからである。 やはり弁護士から送られると無視するのは抵抗があるだろうし、特許権者本人からであれば「交渉の余地あり」「まだ穏便にすませられそう」という意識が働くであろう。 警告書送付後の対応方針 警告書送付後の相手方の反応に応じて、次の対応を判断する。 何らかの譲歩や交渉意思が示された場合であれば交渉による解決を検討するだろうし、返信なし、またはゼロ回答の場合であれば、事前に決めた方針に従い、次の法的手段を含め、相応の判断を行うこととなる。 なお、1往復目は内容証明郵便とするのが通常だが、その後も必ず内容証明にするかどうかは事案によって異なる。 ただ、電子メールは原則として不適切と考えられる。 警告書に記載すべき主な内容 警告書には、主に以下のような内容を記載することが多い。 なお、警告書というタイトルは高圧的にも聞こえるため、「情報提供」「検討依頼」「通告書」といった表現とすることもあり得る。 当事者 行使する権利(例:特許登録○○○○○○号) 被疑侵害製品等 侵害の指摘 被疑侵害者の行為が、どのように特許権を侵害しているのかを指摘する。訴状ほどの厳密な構成は不要だが、ある程度具体的な対比を記載すべき場合もある。 被疑侵害者に対する要求事項 使用の中止を求めるか、それともライセンス料の支払いを求めるのか 損害賠償を求めるのか(その場合はいくら求めるのか) 仕入れ先、販売数量、販売価格、販売先のリストの送付 解決に向けた提案があれば行うことを求める記載 回答期限 被疑侵害者の検討時間を考慮し、2週間程度設けることが多い。3日など、あまりに短い期間の指定は却って不適切。 被疑侵害者の対応・回答を促すため、回答や誠意ある対応が無い場合には法的措置をとる旨を記載することが多い。 自社の連絡先 取引先への警告に関する注意点 被疑侵害者本人ではなく、その取引先に警告書を送付する行為は、不正競争防止法上の問題を生じるリスクがある。 慎重な検討なしに行うべきではない。 おわりに 警告書は、特許侵害紛争における重要な分岐点となる。 送付そのものが目的ではなく、最終的にどのような解決を目指すのかを明確にしたうえで、戦略的に位置付けることが重要である。 権利の強さ、相手方の態度、コストとリスクを冷静に見極めた対応が求められる。

知的財産紛争とADR(裁判外紛争解決手続)

知的財産に関する紛争の解決手段として、交渉の次の段階として思いつくのは「訴訟(裁判)」であろう。 訴訟は、交渉に非協力的な相手方に対し応訴を強制し、強制執行が可能という利点はあるが、とにかく解決までに時間と費用がかかる。 また原則公開であり、技術情報や紛争内容が開示される点もデメリットとなる。 ここで、訴訟に代わる選択肢としてADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決手続) が挙げられる。 日本では、日本知的財産仲裁センターなどがADRを実施しており、知財分野に特化した紛争解決の場として利用されている。 ADRとは? ADRとは、訴訟によらず、中立な第三者が関与して民事上の紛争を解決する手続である。 代表的なものとして「調停」と「仲裁」がある。 調停とは何か 調停とは、第三者が当事者間に入り、解決案を提示することで紛争解決を図る手続である。 当事者は、その案に同意すれば解決となり、気に入らなければ拒否することもできる。 従来、調停調書には強制執行力が無かったのだが、令和6年4月1日のADR法改正により、調停での和解に「民事執行をすることができる旨の合意」を含めた場合には、強制執行が可能となった。 この改正により、調停は「柔軟だが実効性に乏しい手続」から、「実効性を備えた紛争解決手段」へと大きく前進したといえる。 調停のメリット 知財調停では、迅速な解決を目指し原則3回の調停期日で紛争解決を図る。 このため、簡易かつ迅速に解決できる可能性がある。 また、請求内容や争点の範囲を当事者が調整でき、途中で調停を取り下げて交渉へ回帰するといった柔軟な対応も可能である。 更に、裁判官、弁護士、弁理士からなる調停委員会で処理されることから、専門性も期待できる。 知財調停に適した事案、適さない事案 知財調停は、以下のような比較的論点が明確となっている事案に適している。 交渉中に生じた紛争 過度に複雑でない紛争 争点が特定されており、双方が話し合いによる解決を希望している場合 具体例としては、次のようなものが挙げられる。 特許権侵害の有無 特許権の帰属 商標の類否 著作権侵害の有無 ライセンス料の額の争い 侵害による損害額の争い 一方、特許権の無効主張があり、審理・判断に時間を要するなど、争点が多くて事案が複雑な場合には適さない。 また、激しい交渉等を経て既に当事者間の信頼関係が失われている場合も、調停による解決は難しいと思われる。 これらの場合には、残念ながら訴訟や仮処分といった強制力のある手段を検討する可能性が出てくる。 仲裁とは何か 仲裁とは、当事者間の合意に基づき、第三者(仲裁人)が紛争について判断を下し、その判断に当事者が従うことで解決する手続である。 仲裁判断には、裁判の判決と同様の強制力が認められ、仲裁合意が成立すると、その紛争について裁判を受けることはできなくなる。 また上訴に相当する制度がなく、仲裁判断に不服申立てはできない。 このように、仲裁は最終的・確定的な解決をもたらす一方で、判断を覆す手段が存在しないという一発勝負のような側面がある。 そのため、実務上は仲裁よりも調停の利用が圧倒的に多い。 非公開性という共通のメリット 調停・仲裁は、いずれも非公開で行われる。 技術情報、契約条件、ライセンス料など、外部に知られたくない情報を扱う知財紛争において、非公開性は極めて重要なメリットである。 例えば訴訟まで行くと、相手方のHPには掲載されるわ、裁判例として掲載されるわ、ネット記事に掲載されるわで、裁判に負けようものならレピュテーションリスクが非常に大きい。 珍しい判例となれば、ひょっとしたら書籍に掲載されたり、弁理士研修で講師が題材に取り上げたりするかもしれない(それは気にしすぎかもしれないが)。 おわりに 知的財産紛争の解決において、「訴訟かADRか」は二者択一ではない。 紛争の性質、スピード感、相手方との関係性、求める解決内容に応じて、適切な手段を選択することが重要である。 特に知財調停は、専門性・非公開性・柔軟性を兼ね備えた有力な選択肢となり得る。 もっとも、相手方がある程度協力的な場合に限られるかもしれないが…

一方が電子署名、他方が紙署名の契約は有効か

電子契約サービスの普及により、契約締結までの負担は大分軽減されてきているのを実感している。 もっとも、相手方の社内規定や業界慣行により、紙での署名・押印を求められる場面は依然として多い。 その場合、「相手方は紙署名で対応してもらい、自分たちは便利な電子署名」という非対称な形で契約を締結できると便利だなと思った。 しかし、これまで実務でそのような契約を締結したことが無いので、実際のところできるのか調べてみた。 結論から言うと、「できないことはないが、却って面倒」というのが個人的な見解となる。 想定されるスキーム 例えば相手方が電子署名を拒み、自社のみが電子署名を用いるのであれば、次のような手順が想定される。 自社側で契約書に電子署名を付与する 電子署名済みのファイルをダウンロードし、契約相手方に送付する 相手方が当該契約書を2部印刷し、製本のうえ署名・押印する 相手方から押印済みの契約書1部を自社に返送してもらう この場合、相手方にとっては「押印された紙の契約書」が原本という認識になるのが通常である。 そのため、自社側でも相手方から返送してもらった押印済みの契約書を原本として管理することになり、結局2部とも課税文書として印紙貼付が必要になることが多い。 民法上の有効性 民法の観点からすれば、契約は当事者双方の意思表示の合致によって成立する。 ここで、署名や押印、電子署名は、その意思表示の存在や内容を証明するための手段にすぎない。 したがって、「一方が電子署名を行い、他方が紙に署名・押印を行う」という形であっても、双方の契約締結意思が有効に合致していれば、契約自体が無効になるとは考えにくい。 この意味では、「一方が電子署名、他方が紙署名」という形式それ自体が、直ちに法的に否定されるものではない、という歯切れの悪いコメントとなる。 合意の証明が曖昧になる可能性も 問題は、契約の成立そのものよりも、「後日、どのように立証するか」という点にある。 紙の契約書を前提とする企業では、電子署名をした企業側では「いつ、誰が」契約を承認・締結したのかが、紙面上からは必ずしも明確にならないことがある。 電子契約であれば、電子署名のログ等により、署名者や署名日時を容易に確認できるのだが、ひとたび電子署名付きファイルを印刷してしまうと、そういった情報は抜け落ちてしまう。 結果として、「本当に双方が同一内容の契約書に合意したのか」「電子署名と紙署名の対応関係はどうなっているのか」といった点について、後日争いになった場合の説明が難しくなるリスクがある。 このようなリスクへの対応として、電子署名を行った側から「いつ、誰が、どの契約書に」合意したかを示す「合意締結証明書」を発行し、相手方に交付する方法が考えられる。 しかし、元々は楽しようと電子署名したはずなのに、契約書とは別の書面を準備するという却って余分な手間が発生してしまうこととなる。 実務上のメリットは? というわけで、上記をまとめると、片方のみが電子署名を用いることで 紙の契約書を2部作成する以上、印紙代が発生する 紙媒体の契約書を保管・管理する必要がある 合意締結証明書を作成する必要がある といった点が生じ、電子契約のメリット(コスト削減、管理の簡素化、検索性の向上など)は大きく損なわれる。 結論 一方が電子署名、他方が紙署名という形での契約締結は、民法上直ちに無効になるものではない。しかし、 合意の証明が不十分になるリスク 印紙税や紙管理といったコスト面のデメリット を考慮すると、実務上は合理的とは言い難い。 よほど特別な事情がない限りは、一方が電子署名を社内規定等から受け入れられなければ双方とも従来通り紙の契約書に署名・押印するという形で契約締結方法を揃える方が、法的安定性と実務効率の両面から望ましいといえるだろう。 もし、実務でこの辺りをうまく運用できている方がいれば、是非教えていただきたい。

January 19, 2026

ソフトウェア特許における各種クレームの使い分け

ソフトウェア関連発明を特許出願する際、どの種類のクレームを書くかは、その後の権利行使や収益化に直結する重要な論点となる。 とりわけ「システムクレーム」「プログラムクレーム」「方法クレーム」は、同一の発明内容であっても、権利の及ぶ範囲や侵害主張のしやすさ、実施料算定の考え方に大きな違いが生じる。 本記事では、ソフトウェア特許において典型的に用いられるこれら3種類のクレームについて、それぞれの特徴と利点・留意点を整理する。 システムクレーム システムクレーム(装置クレーム)は、ソフトウェアを含む装置全体を特定するクレームであり、完成品としての装置に対して侵害主張が可能となる。 最大の利点は、侵害対象を「装置全体」として捉えられる点にある。 プログラムクレームと比較すると、対象製品における特許発明の占める部分、いわゆるパテンテッドポーションを大きく評価しやすく、その結果、ライセンス料や損害賠償額を高く主張できる余地が生じる。 また、プログラムがハードウェアに実装されている場合であっても、システムクレームであれば問題なくカバーできる。 さらに、プログラム搭載装置の「使用者」に対して権利行使を行いたい場合にも、システムクレームは有効な選択肢となる。 このように、製品ビジネスを前提とする場合や、装置メーカー・ユーザー双方への権利行使を視野に入れる場合には、システムクレームは非常に強力な武器となる。 プログラムクレーム プログラムクレームは、コンピュータプログラムそれ自体を発明の対象として特定するクレームである。 このクレームの強みは、カバー範囲の広さにある。 CDやDVDなどの記録媒体による配布、ソフトウェアのダウンロード、サーバーからの配信、さらにはスタンドアローン型のソフトウェアまで、様々な流通形態を一括して捉えることができる。 原則として、プログラムクレームがあれば、記録媒体クレームを別途設ける必要はないと考えられる。 ただし、国ごとの制度差には注意が必要である。 例えば米国では、いわゆる「プログラムクレーム」は認められておらず、代替として記録媒体クレーム(computer-readable medium claim)に置き換える必要がある。 その際、単に記録媒体という記載だけだと一時的な伝搬信号それ自体(transitory propagating signals per se)であると解釈され、米国特許法第101条の規定により拒絶される可能性があるため、クレームでは「非一時的な有形の記録媒体(non-transitory tangible medium)」と規定する必要がある。 また、欧州特許出願では、原則として1つのカテゴリー(物、方法、使用)について1つの独立クレームしか認められない。 ここで、物のカテゴリーには装置、システム、プログラムが含まれるので、プログラムの独立クレームを規定した場合は装置クレームやシステムクレームの独立クレームを規定することができない。 欧州の審査ガイドラインにはコンピュータプログラムそれ自体は特許可能な発明から除外されるが、更なる技術的効果が得られるコンピュータプログラムは特許可能な発明であると規定されている。 つまり、プログラムのクレームについては特許可能な発明から除外される可能性もあるということなので、安全を取るなら装置クレームと方法クレームの2つの独立クレームを選択するのが良い。 なお、中国では従来、プログラムクレームは認められていなかったが、改正された「専利審査指南」が2024年1月20日から施行され、コンピュータプログラム製品を対象とする請求項が認められるようになった。 方法クレーム 方法クレームは、発明の「実行行為」そのものを特定するクレームである。複数のデバイスにまたがって処理が行われる場合であっても、一連の方法としてクレームできる点は特徴的である。 一方で、方法クレームによる権利行使には難しさも多い。 ソフトウェア関連発明では、実施行為が個人的使用に留まるケースが少なくない。 また、実施者が多数存在する場合、それぞれが「業として」実施していることを立証する必要があり、実務上の負担は大きい。 その割に、侵害に対する対価として得られる収入は限定的になりがちである。 そして、方法でしかカバーできない発明は殆ど存在しないと考えられる。 このような事情から、一般論としてはクレーム作成の優先度は低く位置づけられることが多い。 もっとも、例外もある。 サービス事業者による発明の実施が明確に想定される場合には、サービスに用いられるサーバー装置をクレームするよりも、そのサービス内容に対応する方法クレームの方が、サービス収益を基礎として実施料を算定しやすい場合がある。 このようなケースでは、戦略的に方法クレームを用意しておく意義は大きい。 おわりに ソフトウェア特許におけるクレーム設計は、単なる権利取得の問題に留まらず、その後のビジネスモデルや権利行使戦略と密接に結びついている。 システムクレーム、プログラムクレーム、方法クレームにはそれぞれ明確な役割と強みがあり、どれか一つが常に正解というわけではない。 想定される実施形態、侵害主体、収益源を踏まえた上で、複数のクレームタイプを適切に組み合わせることが、ソフトウェア特許の価値を最大化する鍵となる。 一般的には、システムクレーム≒プログラムクレーム>方法クレームの優先度となると考えられるが、プログラムがインストールされた装置を販売する可能性が低ければ、システムクレームの優先度は多少下がるかと思われる。

技術関連の契約と印紙税の基本整理

近年は電子署名(電子契約)が普及しており、収入印紙が原則不要となることが多いものの、紙での締結を行う場合は収入税の要否をしっかり判断しておく必要がある。 知財部員であっても、技術開発契約や知財関連契約を扱う場面では同様である。 印紙税は、印紙税法で定められた「課税文書」に該当するかどうかによって課税関係が決まるため、契約の名称ではなく、その内容が重要となる。 以下では、技術・知財分野で問題となりやすい課税文書の類型と実務上の留意点を整理する。 印紙税の課税対象となる契約書 課税対象となる契約書は、以下のリストの通りである。 文書の種類 文書の内容 第1号文書 不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、無体財産権の譲渡に関する契約書など 第2号文書 請負契約書 第5号文書 合併契約書、吸収分割契約書、新設分割契約書など 第7号文書 取引基本契約書、業務委託契約書など(契約期間が3か月以内で、かつ更新に関する定めがないものは除外) 第12号文書 信託契約書 第13号文書 保証契約書 第14号文書 金銭又は有価証券の寄託契約書 第15号文書 債権譲渡契約書又は債務引受契約書 技術開発や知財関連の契約では、特に以下の文書が課税対象となる可能性が高い。 第1号文書:特許権譲渡契約書、著作権譲渡契約書など 第2号文書:技術開発を内容とする請負契約書 第7号文書:請負に関する取引基本契約書、包括的な業務委託契約書 なお、発明に関する「特許を受ける権利(出願権)」の譲渡に関する契約書の場合は、特許権そのものの譲渡を約するものではないので印紙税は不要である。 更に、ライセンス契約書も特許権や商標権などの「無体財産権の譲渡」ではないため、こちらも印紙税は不要である。 ちなみに、請負契約であっても、単発の契約として締結される場合は第2号文書となる一方、継続的な取引を予定する基本契約の形をとる場合には、第7号文書に該当することがある。 また、契約書の中に特許権等の譲渡に関する規定が含まれている場合、契約全体として第1号文書に該当するかどうかを慎重に検討する必要がある。 契約書の保管と印紙の負担 契約書を複数通作成する場合、各通がそれぞれ課税文書となる。 通常、お互いが保管する契約書に貼付する印紙は、それぞれが手配することとなる。 一方、単なる写しには印紙税は不要である。 電子契約を締結した場合に、その内容をプリントアウトしたものについても、印紙税は課されない。 変更契約書と印紙税 既存の契約について修正覚書を作成する場合、元の契約書で印紙税を貼っていればOK、というわけではなく、変更内容に「重要な事項」が含まれていれば、新たに印紙税が課される。 請負契約書における重要な事項としては、印紙税法基本通達別表2において、概ね次の事項が挙げられている。 これらの内容が含まれる場合は、修正覚書にも収入印紙を貼り付ける必要がある点には注意したい。 運送又は請負の内容(方法を含む) 運送又は請負の期日又は期限 契約金額 取扱数量 単価 契約金額の支払方法又は支払期日 割戻金等の計算方法又は支払方法 契約期間 契約に付される停止条件又は解除条件 債務不履行の場合の損害賠償の方法 技術開発契約では、開発内容や対価、契約期間の変更が頻繁に行われることが多いため、修正覚書の印紙要否を都度確認することが重要となる。 おわりに 技術関連契約や知財契約では、契約類型が複合的になりやすく、印紙税の判断が難しい場面が少なくない。 契約の実質的内容を踏まえ、どの号の課税文書に該当するのかを整理することが、実務上のリスク低減につながる。 特に、普段電子署名がメインの場合だと、たまに開発部から「この紙の契約書、印紙必要ですか?」と聞かれたときに回答に窮することもある。 経理にでも聞けば確実ではあると思うのだが、ここで「この場合は必要ですね」とさらっと答えられると、開発部からの信頼度も多少は向上するのではないだろうか。

January 16, 2026

契約締結時の署名者の選び方など

個人が契約を締結する場合、原則として本人が署名すれば足りる。 誰が契約当事者であり、誰の意思で合意したのかが明確であるため、この点で悩むことはあまりない。 しかし、契約の当事者が法人となると話は少し変わってくる。 法人は自然人ではない以上、自ら署名することはできず、必ず「誰か」が法人を代表して署名を行うことになる。 では、その「誰か」として署名するのは、常に社長でなければならないのだろうか。 部長や事業責任者が署名している契約書を見かけることも多いが、それは法的に問題ないのか?という点について考えてみたい。 まあ、現実としてそういった契約書があるので問題ないのは間違いないのだが、誰でもOKというわけではない。 署名者は社長以外でも良い 社長(代表取締役)には法により会社を代表する権限が与えられているため(会社法第349条第4項)、社長が署名をするのが一般的である。 しかし、法人契約だからといって、必ずしも社長が署名しなければならないわけではない。 部長や事業責任者など、対象となる契約について契約締結権限を有しているのであれば、その者が署名者となること自体に問題はない(会社法第14条第1項)。 極端な話、平社員でも新入社員でも契約締結権限さえあれば署名者となり得る。 重要なのは肩書きよりも、契約締結権限があるかどうかである。 契約締結権限の確認方法 「平社員でも契約締結権限があればOK」ではあるのだが、あくまでこれは社内情報となることから、契約の相手方からは契約締結権限の有無を把握することができない。 そのため、ちゃんと署名者に契約締結権限があることを相手方に示しておくことが望ましい。 具体的には、 本来の権限を有する本人から、署名者が代理である旨を明示したメールを送ってもらう 委任状を提出する 契約締結権限を定めた社内規程を提示する(全体を提示できない場合は、一部黒塗りにして出すこともあり得る) といったエビデンスを提示する方法が考えられる。 署名者は複数人も可能 契約内容によっては、同一の法人から複数名を署名者として指定することも可能である。 例えば、代表者と担当部門責任者の連名とすることで、社内的な意思決定がなされていることをより明確にできる場合もある。 筆者の実務上でも、たまにそういった契約書を見かける。 押印は必須? 契約は、押印が無い(署名のみ)場合でも成立し得る。 しかし実務上は、契約を締結する意思があったこと、また契約内容を確認・了承したことを明確にするための手段として、署名に加えて押印が用いられるのが通常である。 形式そのものよりも、誰がどのような権限に基づいて合意したのかを意識して契約書を作成・確認することが重要になる。 ちなみに、契約書用のハンコをカタカナ表記で作っている外国人の強者も見かけたことがある。 契約締結までのやり取りは保存するべき 契約書締結までの交渉については、メール等のやりとりを通じて行われることも多い。 後日、契約書のみならず、こういったやり取りも契約の内容に関して疑義が生じたり紛争が生じたときの参考資料となり得るため、これらはPDF等で保存しておくことが望ましい。 特に、Emailは容量の関係から数年以内に内容を削除する設定としていることが多いため、先方との重要な契約関連の交渉についてはきちんと保存することがベストとなる。

January 10, 2026

契約書に用いられる押印の種類とその意味

契約を電子署名でなく紙で締結する際には、署名や記名押印のほかにも、いくつか種類の押印が用いられる。 それぞれの押印には役割があり、意味を理解せずに形式的に押していると、後から思わぬトラブルにつながることもあるので注意しておきたい。 契印 契印は、一通の文書としての連続性を担保するために押される印である。 複数ページからなる契約書において、ページとページの間にまたがるように押印することで、途中でページが差し替えられたり、抜き取られたりすることを防ぐ趣旨がある。 ページ数が多い場合には、全てのページ間に契印を押す代わりに、ホチキスと製本テープを使って袋綴じにしつつ表紙や裏表紙の綴じ部分に押印すると楽である。 割印 割印は、当事者がそれぞれ保管する複数の契約書が、同一内容であることを担保するための押印である。 通常は、2通の契約書を少しずらして重ね、その境目にまたがるように押印する。 そして、それぞれの当事者が1部ずつ保管する。 これにより、後から一方の契約書だけが書き換えられることを防ぎ、「双方が同じ内容の契約書を保有している」ことを証明しやすくなる。 訂正印 訂正印は、契約書の記載内容を訂正した箇所を特定するために押される印である。 誤字脱字や数字の誤りなどを修正する際、二重線を引き、その上に正しい文字を記入した上で、訂正箇所の近くに押印するのが一般的である。 訂正印がないまま修正がされていると、後から「本当に合意された修正なのか」が争いになる可能性があるため、訂正が生じた場合には適切に対応する必要がある。 捨印 捨印は、将来の訂正について、あらかじめ相手方に包括的に委ねる趣旨で押される印である。 訂正箇所を特定せず、契約書の余白などに押印されるのが通常となる。 捨印があると、軽微な修正について再署名・再押印を省略できるため、手続の手間がかからないというメリットがある。 このため、銀行に提出する書面など、実務の様々な場面で広く用いられている。 ここで、捨印を押した者の意図に反して際限なく訂正されてしまうのか?という点が懸念として考えられる。 この点だが、捨印の効力について、最高裁判所は昭和53年10月6日判決で「いわゆる捨印が押捺されていても、捨印がある限り債権者においていかなる条項をも記入できるというものではなく、(中略)当事者間に合意が成立したとみることはできない」としている。 この点を踏まえると、捨印によってあらゆる内容が訂正可能になるわけではなく、当事者間で合意した基本的な合意の趣旨は変えずに、誤字・脱字といった軽微かつ明白な箇所を訂正することができるに留まるものとみるのが自然かと思われる。 それでも、捨印は相手方に内容を修正されてしまうリスクを内包している点は認識しておくべきであり、特に契約条件の重要部分に影響し得る書面では、捨印のリスクを十分理解した上で対応することが重要になる。

January 8, 2026

欧州での商標登録なら、EUTM(欧州連合商標)がお得

EUで商標登録出願を行うには、直接出願かマドプロ経由での出願が必要となるところ、各国に対して個別に出願するだけでなく、EUTM制度(欧州連合商標)による出願を行うことができる。 EUTM制度とは EUTM制度とは、EU全域に効力が及ぶ単一の商標登録をすることができる制度である。 かつては欧州共同体商標(CTM)と呼ばれていたが、2016年3月に改称されている。 EUTMのメリット EU加盟27か国のすべてで個別に権利化し、更新する場合に比べると、大きな経済的メリットが得られる。 もし国毎に登録しても、1ヵ国あたりEUTMの半額程度の費用は必要なケースがあるので、EUTMはかなり費用を浮かせられることとなる。 また、更新手続きも1度で済むのが嬉しい。 欧州統一特許(Unitary Patent)と似たメリットではあるが、特許の場合は最低3~4か国で権利化しないと費用面のメリットが得られないので、経済的メリットはより大きいといえるかもしれない。 べルギー、オランダ、ルクセンブルクについては、個々の国へ直接出願することはできず、ベネルクス商標登録出願という手続きを踏む必要があるのだが、EUTMであればこの3国についてもカバーされる。 さらに、5年間商標を不使用の場合は取り消される可能性があるところ、EUTMの場合はEU加盟27か国のどこか1国で商標を使用していれば、不使用取消を免れられる。 なお要件を満たせば、マドプロを利用してEUTM出願をすることも可能である。 EUTMのデメリット EUTMは一体不可分の権利なので、EU加盟国の一部のみを選択して出願することはできない。 したがって、1国で拒絶理由があった場合は全体で拒絶されるし、異議申立を受ける可能性も高まる点は注意である。 この辺りは、マドプロ出願でいうセントラルアタックのリスクと近い概念となる。 例えば、商標が加盟国のどこかの言語でその商品の一般名称となっていれば、その名称が他の加盟国では知られていない商標でも、拒絶されることとなる。 また、これは正確にはデメリットではないが、EU非加盟国、例えば英国について権利化したい場合は別途個別に出願する必要が生じる点は注意が必要である。 EU加盟国でも一部の地域に権利を及ばすことはできない デンマーク王国はデンマーク本国、フェロー諸島、そしてグリーンランドの3つの地域で構成される。 ここで注意したいのは、デンマークはEU加盟国ではあるにもかかわらず、EUTMがフェロー諸島とグリーンランドには適用されない点である。 もしこれらの地域にも商標権の保護を及ばせたいのであれば、デンマーク王国全体を統括するデンマーク特許商標庁を通じた手続きが必要となる。 イタリアでも同様の話があり、EUTMはサンマリノ共和国やバチカン市国では有効ではないが、イタリアとの特別な条約により、イタリア国内商標庁に商標登録出願をすればサンマリノ共和国やバチカン市国でも保護される。 したがって、これらの地域にまで商標権の保護を及ばせるのであれば、デンマークやイタリアへ直接出願することが求められる。 しかし、今後グリーンランドについてはデンマークの自治領であり続けるかは不透明かもしれないが…

クレームで「○○の数」を英訳するなら「a number of ○○」か、「the number of ○○」か

細かい話になるかもしれないが、特許のクレームを英語に翻訳するとき、「○○の数」という表現をどう英語に翻訳すべきだろうか? 選択肢としては、 a number of ○○ the number of ○○ が挙げられる。 「a number of」は「複数の」「多数の」と解釈されうるため「the number of」とすべき、という意見もあれば、初出で「the number of」と用いるのは適切でないため、「a number of」とすべき、という意見もある。 本来の英語としては、「複数の」ではなく「○○の数」であることを明確化するという観点では、「the number of」と記載するのが正しいようにも思われる。 中学校でも、そのように習ったのではないだろうか。 しかし、米国の審査官によっては「初出の単語にtheという定冠詞を設けるのは不適切。初回はaを使いなさい」と反射的にObjectionを出すことも多い印象である。 そんな審査官に対して「いや、これは数を表すのでtheとすべきです」と意見書で反論を試みることも可能だが、現実としては審査官がObjectionを維持する可能性が大いにあり得る。 ただ、それで権利解釈に大きな影響があるかというと、明細書の中で合理的に解釈すれば「a number of ○○」が「○○の数」を意味するようになっていれば、別に問題にはならないと考えられる。 実際、USPTOの審査官が審査手続を進めるための審査基準(MPEP 2111)でも、クレームの文言そのものだけでなく、明細書全体(詳細な説明、図面など)を参照して「当業者(person having ordinary skill in the art)」が理解するであろう最も広く合理的な意味で解釈されるとしている。 これらの事情を考慮すると、個人的には、初回は「a number of」を、それ以降は「the number of」と表現すれば問題ないと思う。 因みに、「a number of」を「複数の(2つ以上を全て包含する形)」という意味で用いることもあるだろうが、「多数の」と解釈されうる(権利範囲が狭く解釈される)リスクを考慮すると、実務上は「a plurality of」と表現することが多いと考えられる。