実務者なら分かると思うが、USPTOの審査官は、その審査の質にかなりバラツキがあるなと感じる。
人が審査しているので仕方ない面はあるのだが、特許が許可となる確率も大きく異なるし、インタビューの有無などによる許可率の変化の仕方も違いがある。
つまり、あらかじめ審査官の傾向を把握しておけば、例えば以下のような感じでOAの戦略を考えることができるわけである。
- 許可率が低く、拒絶が厳しい審査官なら・・・
- 早期にクレームを絞り込み、無理に争わず着地点を探る
- 1st OA後すぐに審査官インタビューを設定し、認識のズレを解消する
- AppealやRCEも視野に入れた中長期戦を前提に動く
- 許可率が高く、比較的柔軟な審査官なら・・・
- 意見書・補正書のみでスムーズな許可を狙う
- コスト増に繋がるため、インタビューは控える
- クレームスコープを維持しつつ、最小限の補正で通す
- インタビュー実施時に許可率が大きく上がる審査官なら・・・
- 初期段階から積極的なインタビューを行う
※ただし、以下記事に記載の通り、2026年度より審査ラウンド毎のインタビューは原則1回に限定される
米国の審査に影響する話となる。 2026年度のUSPTOによる審査官業務評価計画で、新たな変更が導入されるとのこと。 1案件につき、審査官...
そこで、OA対応方針の検討時に審査官の難易度を調べることが重要となるわけだが、この情報を検索できるUSPTO審査官評価サイトをいくつか紹介したい。
無料でも使えるUSPTO審査官評価サイト
2026年4月時点では、以下4つのサイトからUSPTOの審査官の統計データを見ることができる。
PatentsBots
このサイトの「Patent Examiner Statistics」というサービスでは、有料登録により審査官個人の様々な過去の審査情報を入手できるが、無料でも以下3つの統計データが得られる。
大体の審査官の難易度を把握するのには丁度良い。
- 3-Year Grant rate:直近3年間の許可率
- Difficulty:難易度 (Extremely Easy, Very Easy, Easier, Medium, Harder, Very Hard, Extremely Hardの7段階)
- Difficulty Percentile:最も許可を出しやすい審査官からを順に並べた際に、全体の何パーセント目にあたるかを示す「位置」。0〜100の数値で表され、高いほど難関。
Unified Patents
2001年1月1日以降の案件から集計しており、以下の基本情報を入手可能。
- Total Apps(総件数)
- Issued(許可件数)
- Abandoned(放棄件数)
- Pending(継続件数)
面白いのは、以下の項目の有無による許可率の比較、そして対象の審査官が所属するArt Unitの平均許可率値との比較ができる点である。
例えば、審査官インタビューがあると許可率が大きく上がる審査官であれば、「じゃあ多少費用がかかっても現地代理人にインタビューをお願いしてみようかな」と判断をすることも考えられる。
- Final Rejection
- 審査官インタビュー
- Appeal
- RCE
Big Patent Data
直近3年間のデータを対象に以下の情報を入手可能。
しかし、PatentsBotsより扱っている件数が少ない。
blogは2022年4月を最後に更新されておらず、最近のデータは集計していない可能性が高い。
- Allowance Rate:許可率
- Actions per Allowance:許可までに要する平均OA回数
- Actions per Abandonment:放棄までに費やす平均OA回数
- Months to 1st Action:1st OAまでの平均月数
- Months to 1st Allowance:許可までに要する平均月数
Smartpat
こちらでも審査官データを閲覧できるものの、2020年8月を最後にデータがアップデートされていない。
おすすめの無料サイトは?
4つの無料サイトを紹介したが、最近の統計データも集計しているのは「PatentsBots」と「Unified Patents」の2つである。
基本的には、例えば以下のような用途に応じて両者を使い分けると良いと思う。
- ざっくりした難易度が知りたいなら、PatentsBots
- 審査官インタビューやRCEによる効果まで見たいなら、Unified Patents