AI生成画像を利用する際の条件を考えているユーザー

昨今は、AI生成画像を商用利用する機会が多くなってきている。

個人で楽しむ分には問題ないが、商用利用する上では「AIが出してくれた画像なら安心」というわけではない。

この記事では、AI生成画像を商用利用する際の法的留意点を押さえておきたい。

生成AIの利用規約

まず気にすべきは利用規約となる。

生成画像の所有権は誰になるのか、また禁止行為としてどんなものがあるのかを確認したい。

生成画像の所有権

幸い、作成画像の所有権はユーザーとする生成AIが殆どのようである。

一方、利用規約によっては社内サービス等のために生成画像の利用を許諾しなければいけないこともあるので、許諾しても問題無いか念のため確認しておきたい。

以下の表に、主な生成AIと、ユーザーに所有権がある旨の根拠記載をまとめた。

生成AI 画像利用OK? 利用規約 根拠となる記載
ChatGPT OK 利用規約(2026年1月1日発効) コンテンツの所有権限。お客様と OpenAI との間において、適用される法律で認められる範囲において、お客様は、(a)インプットに対する所有権を保持し、(b)アウトプットを所有します。当社はアウトプットに関する権利、権原、及び利益がある場合、これらすべての権限をお客様に譲渡します。
Gemini OK Google利用規約(2024年5月22日発効) ユーザーのコンテンツ Google の一部のサービスは、ユーザーによるオリジナル コンテンツの生成を許可しています。Google がそのコンテンツに対する所有権を主張することはありません。
Copilot OK Microsoft Copilot 使用条件(2025年10月24日発効) 「お客様のコンテンツ」とは、Copilot との会話に含まれるプロンプトと応答を意味しますが、Microsoft が別途所有するコンテンツ (Xbox ゲーム クリップなど) は含まれません。
Microsoft はお客様のコンテンツを所有していませんが、Copilot の運営および改善のためにお客様のコンテンツを使用することがあります。Copilot を使用することにより、お客様は、お客様のコンテンツを使用する許可を Microsoft に付与することになります。
Claude OK Consumer Terms of Service(2025年10月8日発効) Rights and Responsibilities. …Subject to your compliance with our Terms, we assign to you all of our right, title, and interest—if any—in Outputs.
Grok OK Terms of Service - Consumer(2025年11月4日発効) User Content: You Own Your User Content. You may provide input (e.g., text, audio, images, video, code, files, folders, drives, etc.) to the Service (”Input”) and receive output from the Service (excluding output from Grokipedia) based on the Input (”Output”). Collectively, Input and Output are “User Content.”

禁止行為

生成AIによって禁止行為の記載内容は若干異なるが、どの生成AIでも、違法/暴力的/性的/プライバシー、知財権等の権利侵害コンテンツの生成は禁止されている。

また、生成AIの中で禁止行為に関連するプロンプトを自動的に弾く制御も入ってきている。

生成AI 利用規約その他の規定 禁止行為の概要
ChatGPT 利用規約(2026年1月1日発効)
使用に関するポリシー(2025年10月29日発効)
・違法行為、有害行為、又は悪用する行為の禁止
・人々の保護(他人に危害を与える用途の禁止)
・プライバシーの尊重(個人情報・監視・なりすましの禁止)
・未成年者の保護(子供への危害の厳格禁止)
・人の意思決定の尊重(操作・欺瞞の禁止)
Gemini 生成AIの使用禁止に関するポリシー ・違法行為・重大な危害
・公序良俗に反する/有害な表現
・不正利用・セキュリティ侵害
・虚偽・欺瞞行為
Copilot Microsoft Copilot 使用条件(2025年10月24日発効) ・自分や他者に危害を加えないこと
・お客様や他のお客様に Copilot を提供する Microsoft の能力を損なわないこと
・他者のプライバシーを侵害しないこと
・他者を騙したり、嘘をついたり、不正行為を行わないこと
・他者の権利を侵害しないこと
・不適切なコンテンツや素材を作成または共有しないこと
・違法なことは行わないこと
Claude Consumer Terms of Service(2025年10月8日発効) ・法令・輸出規制違反
・不正アクセス・欺瞞
・権利侵害
・サービスの妨害・リスク発生
・金融・証券取引への利用
Grok Terms of Service - Consumer(2025年11月4日発効) ・生命・安全を脅かす行為
・権利侵害
・不法行為
・不適切な代行
規制業種の無視
・重大な意思決定への利用
・AI使用を隠したり、他者を誤認させたりする行為

電子透かし、ロゴの削除も控えるべき

例えば、Geminiで生成された画像には、ピクセルに不可視のパターンとなるデジタル透かし(SynthID)が埋め込まれる。
※SynthIDは、音声やテキストにも埋め込まれる

検証時には、画像をGemini上に添付し「この画像 / 動画 / 音声は Google AIによって作成または編集されたもの?」といったプロンプトを投げることでSynthIDの透かしの有無を検出し、その画像/動画の一部またはすべてがGoogle AIによって作成または編集されたことを判定することができる、というわけである。

このSynthIDは、多少の編集や画像圧縮であれば残りやすい設計となっている。

しかし、もし意図的に画像に対してSynthIDを削除するための加工を行った場合は、「生成AIの使用禁止に関するポリシー」に記載の

e. 人々を欺くことを目的に、人間によってのみ作成されたコンテンツであると主張し、生成されたコンテンツの出所を偽る。

に違反していると指摘を受ける可能性がある。

また、Geminiの場合は右下にロゴのウォーターマークも入るが、こちらを意図的に削除した場合も同様の指摘を受けるリスクがあるかと思う。

あくまでGemiを一例に挙げているが、他の生成AIで作成した画像に関しても、AIで作成した証拠となる電子透かしやロゴを「見た目が悪くなるから」「何となく気持ち悪いから」という理由で削除するのは控えた方が良さそうである。

著作権法

そして次に注意すべきは著作権となる。

生成AIが出力した画像だからといって、他人の著作権を侵害しない保証は全くなく、各企業も「出力物に関する責任は、ユーザー側で負う」こととしている。

著作権の侵害が成立するには、既存の著作物との「類似性」および「依拠性」が認められる必要がある。

AI生成画像であっても、同様に「類似性」「依拠性」の判断が求められるところ、ここではAI画像生成特有の事情について着目したい。

画像生成時のプロンプトに注意すること

プロンプトとは、どんな画像を生成してほしいかを伝える命令であり、指示文といったテキスト、画像等がある。

ここで、他人の著作物に基づいて画像を生成するようなプロンプトを用いると、他人の著作物に類似するAI生成画像が出力される可能性が高くなるし、他人の著作物に基づいて自己の作品を創作したと認定される可能性も高まることから、「類似性」「依拠性」いずれの要件でもかなり不利に働くこととなる。

もっとも、直接プロンプトに真似するよう指示せずとも、ユーザーが既存著作物と同一・類似のAI生成物を生成しようとプロンプトを操作していれば著作権侵害となり得るのだが、少なくとも以下のようなプロンプトは避けた方が無難である。

  • 「○○(有名なキャラクター)みたいなキャラの画像を作って」
  • (Web上でDLした画像を添付して)「添付画像の手を上に上げるようにして」
  • 「○○先生(有名な漫画家)の絵柄で作成して」

特に画像を添付した場合は、その画像に前述の電子透かし等が含まれていた場合、生成画像にも同じ電子透かしが形成されることで、画像作成のベースとなった著作物を追跡できる可能性もある。

ただし、作風だけが似ていれば著作権侵害とはいえず、作成画像と既存の著作物との間にある独自の特徴が類似するときに初めて侵害となる点は付け加えておきたい(以下の記事でも言及している)。

作風を似せると著作権侵害?

2025年4月16日の衆院内閣委員会(※)で、著作権における、生成AI画像について答弁があった。 内容が興味深かったので、そのやり取りを紹介...

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